不動産仲介契約書の作成に使える記入例付き完成モデル
不動産仲介契約書は、物件の売買・賃貸に関して宅地建物取引業者へ媒介を依頼する際、依頼内容と双方の権利義務を明確にするための書面です。本モデルでは、対象物件、媒介の種類、業務範囲、報酬、契約期間、情報提供、秘密保持および解除に関する基本事項を記載できます。取引の内容や適用される法令に合わせて、専門家による確認を受けたうえで使用してください。
不動産仲介契約書は、不動産の売買または賃貸借において、依頼者と仲介事業者の役割を明確にするための重要な書面です。媒介対象となる物件、依頼する業務、報酬および契約期間を具体的に定めることで、認識の相違や紛争の発生を抑えられます。日本では宅地建物取引業法をはじめとする関連法令への配慮も必要です。このページでは、実務で確認すべき項目と記入時の留意点を整理します。
不動産仲介契約書とは
不動産仲介契約書とは、所有者・借主などの依頼者が、宅地建物取引業者その他の仲介事業者に対し、相手方の探索、広告、条件交渉、契約手続の補助などを依頼する際の条件を記録する書面です。売買と賃貸借では報酬体系や必要な業務が異なるため、取引の類型を明示することが大切です。
媒介契約には、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介などの区分があります。特に宅地建物取引業者へ売却を依頼する場合は、依頼の重複可否、指定流通機構への登録や報告に関する取扱いを、契約類型に応じて確認してください。
契約書に記載する基本事項
当事者を特定する情報と対象物件の表示は、仲介契約の基礎となります。登記上の所在地、地番、家屋番号、専有部分、面積などを、利用可能な公的資料と照合して記載すると安全です。
| 項目 | 記載する内容 | 主な目的 | よくある誤り |
|---|---|---|---|
| 当事者 | 氏名・商号、住所、連絡先、代表者 | 契約当事者を特定する | 法人の代表者や所在地を省略する |
| 対象物件 | 所在地、地番、種類、面積、付属設備 | 媒介対象を限定する | 住居表示だけで登記情報を確認しない |
| 媒介の種類 | 一般・専任・専属専任等の別 | 他社依頼や自己発見取引の扱いを定める | 契約類型を曖昧にする |
| 報酬 | 金額、計算方法、消費税、支払時期 | 仲介手数料の条件を明確にする | 広告費等との区別をしない |
| 契約期間 | 開始日、終了日、更新方法 | 業務実施期間を確定する | 満了後の扱いを定めない |
当事者情報の確認
個人の場合は本人確認資料、法人の場合は登記事項証明書や代表権限に関する資料を確認することが望まれます。共有不動産では、持分を有する全員の意思確認が必要になる場合があります。
対象物件の特定
土地と建物では識別情報が異なります。区分所有建物では、建物名、部屋番号、専有面積に加え、敷地利用権や付属施設の扱いも確認しましょう。
編集できるテンプレート
文書テンプレート
不動産仲介契約書
本契約は、下記当事者間において、不動産の媒介に関する条件を定めるために締結する。
締結場所:____________________
締結日:________年____月____日
当事者
甲(依頼者)
住所:____________________
氏名/商号:____________________
代表者名(法人の場合):____________________
連絡先:____________________
乙(仲介事業者)
所在地:____________________
商号:____________________
代表者名:____________________
免許番号等:____________________
連絡先:____________________
契約内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取引の種類 | □ 売買 □ 賃貸借 □ その他:____________________ |
| 媒介の種類 | □ 一般媒介 □ 専任媒介 □ 専属専任媒介 □ その他:____________________ |
| 対象物件の所在地 | ____________________ |
| 物件の表示 | 土地・建物・区分所有建物その他:____________________ |
| 希望条件 | 売買代金・賃料その他:____________________ |
| 契約期間 | ________年____月____日から________年____月____日まで |
| 仲介報酬 | 金額又は計算方法:____________________(消費税等:____________________) |
| 報酬支払時期 | ____________________ |
| 特別費用等 | ____________________ |
条項
- 甲は乙に対し、前記対象物件に関する媒介業務を委託し、乙はこれを受託する。
- 乙は、法令および本契約の定めに従い、相手方の探索、情報提供、広告、内覧調整、条件交渉および契約締結支援その他合意した媒介業務を行う。
- 甲は、対象物件の権利関係、現況、法令上の制限、瑕疵その他取引判断に影響する事項について、知る限り正確に乙へ告知する。
- 甲は、乙の媒介により取引が成約したときは、前記の条件に従い乙へ仲介報酬を支払う。
- 特別な広告、調査その他の費用を要する業務は、甲乙が事前に書面または電磁的方法により合意した場合に限り実施し、その負担は前記記載のとおりとする。
- 甲乙は、媒介業務に関連して知り得た相手方の個人情報および営業上の秘密を、法令上必要な場合または相手方の同意がある場合を除き、目的外に利用または第三者へ開示しない。
- 甲または乙が本契約に重大に違反し、相当期間を定めた是正要求後も是正されないとき、相手方は書面または電磁的方法による通知により本契約を解除できる。
- 本契約に定めのない事項または本契約に関する疑義は、甲乙が誠実に協議して解決する。
本契約の成立を証するため、本書を2通作成し、甲乙各自が署名または記名押印のうえ、各1通を保有する。
甲(依頼者)署名:____________________ 印:____________________
乙(仲介事業者)署名:____________________ 印:____________________
この場で文面を編集できます。変更はブラウザーに保存され、印刷や Word・PDF への書き出しができます。
媒介業務と報酬の定め方
仲介事業者が行う業務の範囲を明記すると、広告掲載、購入・入居希望者の紹介、内覧調整、条件交渉、契約締結支援などについて、依頼者と事業者の期待をそろえられます。業務外の調査や特別広告を行う場合は、費用負担の有無と事前承諾の方法も定めておくとよいでしょう。
報酬は、売買または賃貸借の別、成約の条件、法令上の上限その他の適用条件を踏まえて設定します。消費税相当額、支払時期、契約解除時や成約に至らなかった場合の費用精算についても、明瞭な表現を用いてください。
- 媒介の対象が売買か賃貸借かを明示する
- 広告、内覧、交渉、契約補助の業務範囲を定める
- 報酬額または計算方法と消費税の扱いを記載する
- 特別な広告費用等の負担条件と事前承諾を定める
- 成約時の支払時期および支払方法を明確にする
報酬や実費の条項は、金額だけでなく、発生条件、事前承諾、請求時期を一体として記載することが実務上有効です。
契約期間、専任性および解除
契約期間には開始日と終了日を記載し、更新する場合の方法を定めます。専任または専属専任の媒介を選択する場合には、他の仲介事業者への重複依頼の可否や、依頼者が自ら発見した相手方と取引する場合の取扱いについて、契約内容を十分に確認してください。
解除条項では、重大な契約違反、虚偽情報の提供、信頼関係の破壊などを想定し、通知方法、是正の機会、解除の効力および費用精算を定めます。一方的に不利な条件にならないよう、取引の実情に即して検討する必要があります。
- 対象物件と取引目的を確定する
- 媒介の種類と仲介事業者の業務範囲を選ぶ
- 報酬、実費、支払時期を合意する
- 期間、解除、紛争解決の条件を確認して署名する
記入・締結前の確認事項
記入前には、物件の権利関係、利用制限、法令上の規制、既存の賃貸借や担保権など、取引条件に影響する情報を整理してください。仲介事業者に提供する情報が不正確であると、広告内容や相手方との交渉に支障が出るおそれがあります。
契約書の各欄は空欄のままにせず、該当しない項目には「該当なし」と記入するなど、後日の加筆や誤解を防ぐ措置を取ることが重要です。署名前に控えを作成し、双方が同一内容の書面を保管しましょう。
よくある質問
一般媒介と専任媒介はどのように違いますか?
一般媒介は複数の仲介事業者へ依頼できる形態であるのに対し、専任媒介は原則として一社に媒介を依頼する形態です。具体的な権利義務や報告・登録の取扱いは、契約内容と適用法令を確認してください。
仲介報酬は必ず支払う必要がありますか?
通常、仲介報酬は仲介業務により取引が成約した場合に発生するよう定められます。ただし、特別に依頼した広告その他の実費や、解除時の取扱いは契約条項によって異なるため、事前に確認が必要です。
電子署名で締結できますか?
電子契約の利用可否は、契約の種類、関係法令、当事者間の合意および利用するサービスの手続に左右されます。本人確認、改ざん防止、書面交付に関する要件を含め、専門家または仲介事業者へ確認してください。