用益権を留保する贈与契約書の記入用モデル(すぐ使える書式)
用益権を留保する贈与契約は、財産の所有権を受贈者へ移転しながら、贈与者が一定期間又は生涯にわたり、その財産を使用・収益できる権利を残すための書面です。本モデルでは、当事者、対象財産、用益権の期間、費用負担、登記・引渡し、解除その他の重要事項を記入できるように構成しています。
用益権を留保する贈与契約は、財産を贈与しながら、贈与者がその使用や収益を継続するために用いられる契約です。例えば、不動産の所有権を子へ移転しつつ、親が居住又は賃料収入を得る権利を確保する場面で検討されます。対象財産、権利の内容、存続期間及び費用負担を具体的に定めることが重要です。日本で不動産を対象とする場合は、登記、税務及び相続との関係についても確認が必要です。
用益権留保贈与契約とは
この契約では、贈与者は財産の所有権を受贈者に無償で移転させ、同時に贈与者又は指定された者のために用益権を設定又は留保します。用益権の内容は、対象物を使用し、その収益を得ることができる権利として定められます。
日本法上、不動産に関する権利関係は民法及び不動産登記の制度と密接に関係します。契約書だけでなく、対象不動産の表示と登記手続の整合性を確保することが大切です。
利用される主な場面
居住用不動産を子や親族に贈与した後も贈与者が住み続ける場合、又は賃貸物件の収益を一定期間確保したい場合などに利用が検討されます。法人や第三者が関与する場合には、権限、税務及び取引目的をより慎重に確認してください。
契約書に記載すべき基本事項
当事者の氏名、住所及び本人確認情報のほか、贈与する財産を特定できる内容を記載します。不動産なら所在、地番、地目、地積、家屋番号、種類及び床面積などを登記事項証明書に沿って記載するのが一般的です。
| 記載項目 | 記載する目的 | よくある誤り |
|---|---|---|
| 当事者の表示 | 贈与者と受贈者を明確にする | 住所・氏名が本人確認書類と一致しない |
| 対象財産 | 贈与の対象を特定する | 登記簿上の表示を省略又は誤記する |
| 用益権の内容 | 使用・収益できる範囲を決める | 居住、賃貸、収益取得の範囲が曖昧 |
| 存続期間 | 権利の終期を確定する | 始期・終期又は死亡時の扱いを定めない |
| 費用負担 | 税金・修繕費等の負担者を決める | 固定資産税や大規模修繕費の分担が不明 |
対象財産と用益権の範囲
対象が不動産であるときは、土地と建物のどちらを含むのか、敷地利用権をどう扱うのかを明示します。賃貸中の物件では、賃料を受領する者、賃借人への通知、賃貸借契約の管理主体も定める必要があります。
使用・収益の具体化
用益権者が自己居住できるのか、第三者へ賃貸できるのか、果実又は賃料を取得できるのかを条項に落とし込みます。改築、増築、用途変更又は担保設定など、財産の価値や利用に大きく影響する行為については、事前承諾の要否を定めると紛争予防に役立ちます。
編集できるテンプレート
文書テンプレート
用益権を留保する贈与契約書
贈与者 ____________________(以下「甲」という。)と、受贈者 ____________________(以下「乙」という。)は、甲が所有する財産の贈与及び用益権の留保について、次のとおり契約を締結する。
契約締結場所:____________________
契約締結日:________年____月____日
甲(贈与者)住所:____________________
甲(贈与者)氏名:____________________
乙(受贈者)住所:____________________
乙(受贈者)氏名:____________________
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 対象財産 | ____________________ |
| 不動産の表示又は財産の特定事項 | ____________________ |
| 用益権者 | ____________________ |
| 用益権の内容 | ____________________ |
| 用益権の始期 | ________年____月____日 |
| 用益権の終期 | ____________________ |
| 費用負担の方法 | ____________________ |
- 甲は、本契約により、前表記載の対象財産(以下「本件財産」という。)を乙に無償で贈与し、乙はこれを受諾する。
- 甲は、本件財産について、前表記載の内容及び期間に従い、使用及び収益を行う権利(以下「本件用益権」という。)を留保する。
- 乙は、本件用益権の存続中、甲による本件財産の使用及び収益を妨げないものとする。ただし、使用方法その他の条件は、____________________とする。
- 本件財産に関する通常の管理費、租税公課、保険料、修繕費その他の費用は、____________________が負担する。大規模な修繕又は保存行為に要する費用は、____________________とする。
- 甲及び乙は、本契約に基づく所有権移転、本件用益権の設定又は留保並びにこれらに必要な登記その他の手続について、相互に協力する。手続費用の負担者は、____________________とする。
- 乙が本件財産を譲渡、担保設定又は第三者に使用収益させようとする場合、本件用益権を不当に害してはならない。
- 本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議し、解決する。
- 本契約に関する紛争については、____________________地方裁判所又は____________________簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として、本書____通を作成し、甲乙各自が署名又は記名押印のうえ、各1通を保有する。
甲(贈与者)住所:____________________
甲(贈与者)氏名:____________________ 印
乙(受贈者)住所:____________________
乙(受贈者)氏名:____________________ 印
この場で文面を編集できます。変更はブラウザーに保存され、印刷や Word・PDF への書き出しができます。
費用、管理及び登記の確認
通常の管理費、固定資産税、火災保険料、修繕費及び大規模な保存行為にかかる費用について、誰がどの範囲を負担するかを明確にします。権利の設定又は対抗要件として登記が必要となる可能性があるため、司法書士等への事前相談が有用です。
- 対象財産の登記事項証明書を取得して内容を確認する。
- 抵当権、賃借権その他の負担の有無を確認する。
- 用益権者の使用・収益の範囲を具体的に記載する。
- 税金、保険料及び修繕費の負担者を定める。
- 所有権移転及び権利設定に必要な登記手続を確認する。
不動産を対象とする場合は、契約締結前に登記簿の表示、担保権の有無及び税務上の影響を確認し、契約内容と登記申請内容を一致させることが実務上重要です。
作成から締結までの流れ
贈与は無償の財産移転であり、当事者間の認識違いが後の紛争につながることがあります。特に家族間の契約では口約束に頼らず、内容を書面化し、各当事者が理解したうえで署名又は記名押印してください。
- 対象財産、当事者及び贈与の目的を確認する。
- 用益権の内容、期間、管理方法及び費用負担を協議する。
- 契約書を作成し、必要に応じて専門家による確認を受ける。
- 署名又は記名押印後、引渡し、通知及び登記等の手続を行う。
税務・相続上の留意点
贈与には贈与税、不動産取得税、登録免許税その他の負担が発生する場合があります。また、用益権の設定や留保は、財産評価、相続税及び遺留分などの検討に影響することがあります。
契約の形式だけでなく、実際の使用状況、賃料の帰属、費用の支払状況も重要です。個別事情により取扱いが異なるため、税理士、弁護士又は司法書士などの専門家に相談してください。
よくある質問
用益権はいつまで存続させられますか。
契約で期間を定める方法のほか、特定の条件や用益権者の死亡を終期として定める方法が考えられます。対象財産及び設定する権利の種類に応じ、法令上の要件を確認してください。
契約書だけで第三者に対抗できますか。
不動産に関する権利は、第三者との関係で登記が重要になることがあります。契約書の作成だけで手続が完了するとは限らないため、登記の必要性を確認してください。
受贈者は用益権のある不動産を売却できますか。
所有者として売却を検討できる場合でも、設定された用益権は買主との関係に影響します。契約上の制限、登記の状態及び用益権者の保護を確認したうえで判断する必要があります。