広報顧問業務委託契約書のすぐに使えるモデル
本モデルは、企業・団体が広報コンサルタントやPR会社へ広報顧問業務を委託する際に利用できる契約書のひな形です。業務内容、月額報酬、契約期間、連絡体制、秘密保持、成果物の取扱い、再委託、契約解除などを明確に定め、円滑で信頼性の高い業務関係を築くための基本事項を整理しています。
広報顧問業務委託契約書は、企業や団体が外部の広報専門家、PR会社またはコンサルタントに継続的な支援を依頼する場合に用いる契約書です。報道対応、プレスリリース作成、メディアとの関係構築、危機管理広報などは、期待する成果と責任範囲を事前に共有することが重要です。契約書によって業務範囲、報酬、情報管理および契約終了時の扱いを明文化すれば、認識の相違や紛争の予防につながります。
広報顧問業務委託契約書とは
この契約は、委託者が受託者に対して広報に関する助言、企画、実務支援などを委託し、受託者が独立した事業者としてその業務を遂行するための合意です。雇用契約とは異なり、原則として受託者は自己の裁量と責任で業務を行います。
継続的な月額顧問契約だけでなく、特定のキャンペーン、記者発表、危機対応、広報戦略策定などに限定した契約にも応用できます。実際の取引内容に応じて、成果物型か準委任型かを慎重に整理してください。
契約書に記載すべき主要事項
契約の対象となるサービスを抽象的に「広報支援」とだけ記載すると、追加業務の範囲や報酬をめぐる問題が生じやすくなります。定例会議の回数、連絡方法、作成物、メディア対応の関与範囲などを具体化することが有効です。
| 項目 | 記載する内容 | よくある不備 |
|---|---|---|
| 委託業務 | 広報戦略、リリース作成、取材対応支援等 | 業務範囲が曖昧で追加依頼が増える |
| 報酬 | 月額・個別報酬、消費税、支払期日 | 実費や時間外対応の費用が未記載 |
| 契約期間 | 開始日、終了日、自動更新の有無 | 中途解約時の通知期間がない |
| 秘密保持 | 対象情報、例外、返還・廃棄方法 | 契約終了後の義務期間が不明確 |
| 成果物 | 原稿・資料等の権利帰属と利用範囲 | 著作権や第三者素材の扱いが不明 |
業務範囲の定め方
業務一覧を別紙の仕様書として添付し、対象外業務は事前協議のうえ追加見積りとする方法が実務的です。たとえば広告出稿、撮影、イベント運営、法的判断を伴う危機対応は、通常の顧問料に含めるかを明示しましょう。
報酬と実費の扱い
報酬は月額固定、時間単価、案件単価などから選びます。交通費、配信サービス利用料、制作費、外部専門家への支払などの実費については、事前承認の要否と精算方法を定めると明確です。
作成前に確認する事項
契約締結前には、依頼する目的、決裁権者、窓口担当者および情報提供の方法を確認します。受託者が成果を出すには、委託者側から正確で適時の情報が提供されることも不可欠です。
- 広報支援を依頼する目的と優先順位
- 対象となる商品、サービスまたは事業領域
- 定例会議の頻度と参加者
- 委託者の承認フローおよび回答期限
- 緊急時の連絡先と対応可能な時間帯
編集できるテンプレート
文書テンプレート
広報顧問業務委託契約書
____________________(以下「甲」という。)と、____________________(以下「乙」という。)は、広報顧問業務の委託に関し、以下のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
契約締結日:_______年_______月_______日
契約締結場所:____________________
契約当事者
甲(委託者)
所在地:____________________
名称:____________________
代表者:____________________
乙(受託者)
所在地:____________________
名称/氏名:____________________
代表者:____________________
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 委託業務の名称 | ____________________ |
| 業務内容 | ____________________ |
| 契約期間 | _______年_______月_______日から_______年_______月_______日まで |
| 報酬額 | 月額 金____________________円(消費税 □含む □別途) |
| 支払期日・方法 | ____________________ |
| 実費負担 | ____________________ |
| 担当者・連絡先 | 甲:____________________ 乙:____________________ |
- 委託業務
甲は乙に対し、前表に定める広報顧問業務(以下「本業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。 - 業務遂行
乙は、善良な管理者の注意をもって本業務を遂行する。乙は、本業務の実施状況について、甲の求めに応じて報告する。 - 報酬および費用
甲は乙に対し、前表記載の報酬を支払う。交通費、外部制作費、配信費その他の実費は、甲の事前承認を得たものに限り、甲が負担する。 - 承認および情報提供
乙が作成したプレスリリース、コメント、資料その他の対外発信物は、甲の事前承認を得た後に使用する。甲は乙による本業務の遂行に必要な情報を適時に提供する。 - 秘密保持
乙は、本業務に関連して知り得た甲の技術上、営業上その他一切の非公知情報を第三者に開示または漏えいしてはならず、本業務の目的以外に利用してはならない。この義務は本契約終了後も存続する。 - 成果物の取扱い
本業務により乙が作成した成果物の著作権その他の権利および甲による利用条件は、次のとおりとする。____________________ - 再委託
乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本業務の全部または重要な一部を第三者に再委託してはならない。 - 契約の解除
甲または乙は、相手方が本契約に違反し、相当の期間を定めて是正を催告しても是正されないとき、本契約の全部または一部を解除できる。中途解約する場合の通知期間は_______日前とする。 - 協議事項
本契約に定めのない事項または本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議し解決する。 - 管轄裁判所
本契約に関する紛争については、____________________地方裁判所または____________________簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として、本書を2通作成し、甲乙記名押印または署名のうえ、各1通を保有する。
_______年_______月_______日
甲(委託者)
所在地:____________________
名称:____________________
代表者:____________________ 印
乙(受託者)
所在地:____________________
名称/氏名:____________________
代表者:____________________ 印
この場で文面を編集できます。変更はブラウザーに保存され、印刷や Word・PDF への書き出しができます。
秘密保持と情報発信の管理
広報業務では、未公表の事業計画、製品情報、財務情報、個人情報などを扱う場合があります。そのため、秘密情報の定義、利用目的の限定、第三者への開示条件および契約終了後の返還・削除を定める必要があります。
また、受託者が委託者の名称や実績を営業資料に掲載できるか、SNS等で発信できるかも事前に合意しておくと安心です。発信前の承認権限を委託者に留保する条項も重要です。
広報活動で使用する事実関係、数値、発言内容は、公開前に委託者の責任者が確認・承認する運用を契約と実務の両面で整えましょう。
契約締結から運用までの流れ
契約書は署名または記名押印だけでなく、運用時に参照される業務仕様や連絡ルールと一体で管理することが大切です。変更が生じた場合は、メールのみで済ませず、書面や電磁的記録で合意内容を残してください。
- 広報課題と委託業務の範囲を整理する。
- 報酬、実費、契約期間および担当者を協議する。
- 秘密保持、成果物、再委託および解除条項を確認する。
- 契約を締結し、初回会議で進行方法と承認手順を共有する。
契約終了・解除条項の注意点
中途解約を認める場合は、通知期限、通知方法、既に発生した報酬や実費の精算方法を定めます。重大な契約違反、秘密保持義務違反、支払遅延などがあった場合の催告解除・無催告解除についても検討してください。
終了時には、受託者が保有する資料やアカウント情報の返還、未完成の成果物の引渡し、秘密情報の削除を行う手順を確認します。報道関係者との連絡履歴や進行中案件の引継ぎ範囲も明確にすると円滑です。
よくある質問
広報顧問契約に成果保証は必要ですか。
掲載件数や売上などは外部要因に左右されるため、通常は成果そのものを保証せず、提供する業務内容や対応時間、報告方法を定めます。保証を設ける場合は、測定方法と例外条件を具体的に記載します。
プレスリリースの著作権は誰に帰属しますか。
契約で定めることができます。委託者が自由に修正・再利用する予定であれば、納品・対価支払後に必要な利用権を委託者へ許諾するか、権利帰属を明記することが望まれます。
契約期間はどのくらいが適切ですか。
広報活動は継続性が重要なため、数か月から1年程度を設定する例があります。ただし、試行的な導入では短期間とし、更新時に業務内容や報酬を見直す方法もあります。