医療サービス提供契約書のすぐに使えるひな形
医療サービス提供契約書は、医療機関または医療従事者と、サービスを依頼する法人・個人との間で、業務内容、提供体制、報酬、期間、秘密保持および責任分担を定めるための書式です。本ひな形は、訪問診療、嘱託医業務、健康診断、医療相談その他の医療関連サービスについて、必要事項を整理して合意内容を文書化する際に利用できます。
医療サービス提供契約書は、医療機関や医療従事者が提供する業務の範囲と条件を、依頼者との間で明確にするための契約書です。診療、健康診断、産業医業務、訪問医療、医療相談など、継続的又は個別の医療関連サービスに活用できます。契約内容を事前に整理することで、報酬、役割分担、個人情報の取扱いをめぐる認識の相違を抑えられます。もっとも、医療行為には資格、広告、個人情報、保険診療などの法的・倫理的な留意点があります。
医療サービス提供契約書とは
本契約書は、受託者である医療機関又は医療従事者が、委託者に対して医療サービス又は医療関連業務を提供する条件を定める文書です。業務の目的、実施場所、対象者、報酬、契約期間および責任の範囲を記載します。
患者本人との診療契約とは異なり、法人が従業員向けに健康相談を依頼する場合や、施設が嘱託医業務を委託する場合など、事業者間の契約として用いられることがあります。
契約書に記載すべき主要事項
当事者と業務の特定
委託者・受託者の正式名称、所在地、代表者又は担当者を正確に記載します。受託者が医師、歯科医師その他の医療専門職である場合には、資格、所属および業務を行う体制も必要に応じて明示します。
| 項目 | 記載する内容 | よくある不備 |
|---|---|---|
| 業務内容 | 診療、健診、相談、訪問回数、対象者 | サービス範囲が抽象的である |
| 報酬 | 金額、単価、消費税、支払期限、実費 | 交通費・材料費の負担が不明 |
| 契約期間 | 開始日、終了日、更新条件 | 中途解約の扱いがない |
| 個人情報 | 取得、利用、保管、第三者提供の条件 | 患者情報の取扱いが未規定 |
| 責任分担 | 連絡体制、事故対応、保険、損害賠償 | 緊急時の対応者が不明 |
報酬と費用の定め方
報酬は月額、時間単価、1回当たり又は成果に応じた金額など、業務の性質に合わせて定めます。消費税の取扱い、請求書の発行時期、支払方法および振込手数料の負担者も明記しましょう。
実費と追加業務
交通費、宿泊費、医療材料費、検査費用などが生じる可能性がある場合は、事前承認の要否と精算方法を定めます。当初の業務範囲を超える依頼については、書面又は電子メール等で条件を再確認する運用が有効です。
- 基本報酬の算定方法を明記する
- 消費税の内税・外税を区別する
- 請求締日と支払期日を定める
- 実費の対象と上限額を確認する
- 追加業務の承認手続きを設ける
編集できるテンプレート
文書テンプレート
医療サービス提供契約書
委託者 ____________________(以下「甲」という。)と、受託者 ____________________(以下「乙」という。)は、乙が甲に提供する医療サービスに関し、以下のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
契約締結日:________年____月____日
契約締結場所:____________________
当事者
甲(委託者)
名称又は氏名:____________________
所在地又は住所:____________________
代表者又は連絡担当者:____________________
乙(受託者)
名称又は氏名:____________________
所在地又は住所:____________________
代表者又は連絡担当者:____________________
資格・免許等:____________________
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 医療サービスの内容 | ____________________ |
| 実施場所 | ____________________ |
| 対象者・対象人数 | ____________________ |
| 契約期間 | ________年____月____日から________年____月____日まで |
| 報酬額 | 金____________________円(消費税:____________________) |
| 支払条件 | ____________________ |
| 実費負担 | ____________________ |
| 緊急時連絡先 | ____________________ |
契約条項
- 乙は、法令、専門職としての倫理および善良な管理者の注意をもって、前表に定める医療サービスを提供する。
- 甲は、乙による業務遂行に必要な情報、場所、設備その他の協力を行う。
- 甲は乙に対し、前表に定める報酬および合意した実費を、____________________の方法により支払う。
- 乙は、業務上知り得た甲、対象者その他第三者の秘密および個人情報を、法令又は正当な理由がある場合を除き、第三者に漏えいしてはならない。この義務は本契約終了後も存続する。
- 個人情報の取扱い、利用目的、保管方法および事故発生時の対応は、関係法令および甲乙間で別途合意する手順に従う。
- 甲乙は、相手方に重大な契約違反その他本契約の継続が困難となる事由がある場合、相当の期間を定めて是正を求めた上で、本契約を解除することができる。
- 中途解約を行う場合、甲又は乙は、原則として________日前までに書面又は電磁的方法により相手方へ通知する。
- 本契約に関して生じた損害については、各当事者の責めに帰すべき事由および関係法令に従い、誠実に協議して解決する。
- 本契約に定めのない事項又は解釈上の疑義については、甲乙が誠実に協議して定める。
- 本契約に関する紛争の第一審の専属的合意管轄裁判所は、____________________地方裁判所又は____________________簡易裁判所とする。
本契約締結の証として、本書を2通作成し、甲乙各1通を保管する。電子契約により締結する場合は、電磁的記録を各自保管する。
甲(委託者)
住所:____________________
名称:____________________
代表者:____________________ 印
乙(受託者)
住所:____________________
名称又は氏名:____________________
代表者又は本人:____________________ 印
この場で文面を編集できます。変更はブラウザーに保存され、印刷や Word・PDF への書き出しができます。
個人情報と守秘義務への対応
医療サービスでは、健康情報を含む要配慮個人情報を取り扱う場合があります。そのため、利用目的、アクセス権限、保管方法、委託先の管理、漏えい時の連絡および再発防止に関する事項を契約上整理することが重要です。
守秘義務は契約終了後も存続させるのが一般的です。ただし、法令に基づく開示、行政機関への報告又は本人の同意に基づく提供については、例外として扱う条件を明確にしてください。
業務内容と個人情報の取扱いは、実際の運用手順と一致させてください。契約書だけを整えても、現場の権限管理や連絡体制が伴わなければリスクは低減しません。
締結から運用までの手順
契約締結前に、提供可能な医療サービスの範囲、必要な資格、設備、連絡先および緊急時の対応を確認します。特に患者への説明や同意が必要となる場面は、委託者と受託者の役割を具体的に定める必要があります。
- 依頼目的と対象業務を確認する
- 報酬、期間、実費および実施体制を協議する
- 個人情報、守秘義務、事故対応の条項を確認する
- 署名又は記名押印後、双方で原本又は電子記録を保管する
よくある質問
医療従事者個人と契約できますか?
可能な場合がありますが、提供する業務に必要な資格、勤務先との関係、医療法その他の関連規制を確認する必要があります。業務の内容によっては、医療機関としての体制整備が求められることがあります。
患者の情報を委託者に共有できますか?
本人の同意、法令上の根拠、利用目的および共有範囲を確認する必要があります。健康情報は慎重な管理が必要な情報であるため、契約書だけでなく実際の取扱手順も整備してください。
契約を途中で終了するにはどうすればよいですか?
中途解約の通知期間、未払報酬の精算、診療記録又は資料の取扱い、後任への引継ぎを契約条項で定めます。患者の安全や継続的なケアに影響する場合は、特に慎重な対応が必要です。