不動産使用貸借契約書のすぐに使える日本語モデル
この不動産使用貸借契約書モデルは、土地、建物、住宅、事業用物件などを無償で使用・収益させる際の基本事項を整理するための書式です。貸主・借主の情報、物件の表示、使用目的、貸借期間、維持管理、費用負担、返還方法、禁止事項を明記し、後日の認識違いを防ぐために活用できます。
不動産使用貸借契約は、貸主が借主に対し、建物や土地を無償で使用・収益させ、借主が契約終了時に返還することを約する契約です。家族間や関係会社間での無償利用でも、口頭の約束だけでは使用目的や返還時期をめぐる争いが生じることがあります。書面で対象物件、利用条件、費用負担および返還条件を具体化することが重要です。このページのモデルは、基本的な合意を整理するためのひな形として利用できます。
不動産使用貸借契約とは
使用貸借は、民法上、借主が借用物を無償で使用・収益し、契約終了後に返還する仕組みです。賃貸借と異なり、原則として賃料を支払わない点が大きな特徴です。
対象は一戸建て、区分所有建物、事務所、倉庫、駐車場用地その他の不動産です。無償であっても、固定資産税、管理費、修繕費、光熱費などの負担者は明確に定めておく必要があります。
賃貸借との主な違い
賃貸借では賃料が対価となりますが、使用貸借では無償性が前提です。そのため、契約の目的、存続期間、貸主からの返還請求の条件などを、取引実態に応じて丁寧に記載することが望まれます。
契約書に記載すべき重要事項
物件の特定には、所在地だけでなく、登記簿の地番・家屋番号、種類、構造、床面積、利用できる付属設備などを記載すると確実です。建物の一部のみを貸す場合は、使用部分を図面や別紙で明示します。
| 記載項目 | 目的 | よくある不備 |
|---|---|---|
| 当事者の表示 | 貸主・借主を正確に特定する | 住所や法人代表者の記載漏れ |
| 対象不動産 | 使用を認める物件・範囲を特定する | 所在地のみで登記上の表示がない |
| 使用目的 | 居住、事務所、倉庫などの用途を限定する | 転用の可否が不明確 |
| 使用期間 | 返還時期・終了事由を定める | 開始日のみで終了条件がない |
| 費用負担 | 税金、修繕費、光熱費の負担を分ける | 大規模修繕の負担者が曖昧 |
| 返還方法 | 明渡し・原状回復の範囲を定める | 残置物や造作の扱いがない |
無償であることの明記
契約書には、本契約が無償の使用貸借であり、借主が賃料その他の使用対価を支払わないことを明記します。ただし、実費としての管理費、光熱費または修繕費を借主が負担する定めは可能です。
編集できるテンプレート
文書テンプレート
不動産使用貸借契約書
貸主 ____________________(以下「甲」という。)と、借主 ____________________(以下「乙」という。)は、下記不動産の使用貸借について、次のとおり契約を締結する。
契約締結日:________年____月____日
契約締結場所:____________________
甲の住所:____________________
甲の氏名(名称):____________________
乙の住所:____________________
乙の氏名(名称):____________________
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象不動産の所在地 | ____________________ |
| 土地・建物の表示 | ____________________ |
| 使用目的 | ____________________ |
| 使用貸借期間 | ________年____月____日から________年____月____日まで |
| 使用対価 | 無償 |
| 借主負担の費用 | ____________________ |
| 返還時の条件 | ____________________ |
- 第1条(使用貸借)
甲は乙に対し、上記対象不動産(以下「本件不動産」という。)を無償で使用および収益させ、乙はこれを借り受ける。 - 第2条(使用目的)
乙は、本件不動産を ____________________ の目的にのみ使用し、甲の書面による承諾なく目的外に使用してはならない。 - 第3条(使用期間)
本契約の使用期間は、上記記載のとおりとする。期間満了時、乙は本件不動産を甲に返還する。 - 第4条(費用負担)
本件不動産の使用に伴う費用は、次の区分に従い負担する。甲負担:____________________。乙負担:____________________。 - 第5条(維持管理および修繕)
乙は、善良な管理者の注意をもって本件不動産を使用・管理する。修繕の必要が生じた場合、乙は速やかに甲へ通知し、修繕費用の負担は前条の定めに従う。 - 第6条(譲渡・転貸の禁止)
乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本件不動産の使用権を第三者に譲渡し、または第三者に使用させてはならない。 - 第7条(返還)
乙は、本契約が終了したときは、自己の所有物を撤去し、本件不動産を ____________________ の状態で甲に返還する。 - 第8条(協議)
本契約に定めのない事項または本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議し解決する。
本契約成立の証として、本書2通を作成し、甲乙各自署名または記名押印のうえ、各1通を保有する。
________年____月____日
甲(貸主)住所:____________________
氏名(名称):____________________ 印
________年____月____日
乙(借主)住所:____________________
氏名(名称):____________________ 印
この場で文面を編集できます。変更はブラウザーに保存され、印刷や Word・PDF への書き出しができます。
作成前に確認する事項
貸主が物件を使用させる権限を有するか、共有者や抵当権者との関係に問題がないかを確認してください。登記事項証明書、固定資産評価証明書、管理規約、既存の賃貸借契約なども必要に応じて確認します。
- 貸主および借主の氏名、住所、連絡先
- 登記簿に基づく土地・建物の正確な表示
- 使用目的と使用できる範囲
- 使用開始日、期間および終了・解約条件
- 修繕費、税金、管理費、光熱費などの負担区分
使用期間と返還条件の定め方
期間を定める場合は、開始日と満了日を明記し、満了時に物件を返還する旨を記載します。期間を定めない場合は、使用目的が終了した場合や貸主が返還を必要とする場合の取扱いを、法令との整合性を確認して定めます。
返還時には、借主が持ち込んだ動産の撤去、鍵の返却、原状回復の要否、設置した設備や造作の取扱いを決めておくと円滑です。
親族間や知人間の無償貸与であっても、利用目的、期限、費用負担、返還時の状態を署名済みの書面で残しておくことをおすすめします。
締結から保管までの手順
当事者は、物件の現況と契約条件を確認したうえで、同一内容の契約書を作成します。必要に応じて写真、図面、設備一覧表を別紙として添付し、各ページに契印する方法も検討できます。
- 登記情報などにより対象不動産と権限関係を確認します。
- 使用目的、期間、費用および返還条件を当事者間で合意します。
- 契約書と必要な別紙を作成し、内容を読み合わせます。
- 貸主・借主が署名または記名押印し、それぞれ原本を保管します。
よくある質問
使用貸借でも契約書は必要ですか。
法律上、常に書面がなければ成立しないわけではありませんが、無償使用の範囲や返還時期を明確にするため、書面を作成することが実務上有用です。
借主は第三者に又貸しできますか。
貸主の承諾なく第三者に使用させることは避けるべきです。又貸しを認めない場合は、契約書に禁止条項を設けてください。
修繕費は誰が負担しますか。
軽微な修繕、通常の維持費、大規模修繕などを区分して合意することが重要です。特に老朽化した建物では、修繕の実施権限と費用負担を具体的に決めましょう。