建物保守管理業務委託契約書のすぐに使える雛形
建物保守管理業務を外部事業者へ委託する際に使用できる契約書の雛形です。設備点検、清掃、修繕対応、報告義務、委託料、契約期間、秘密保持、損害賠償などの基本事項を整理できます。建物の用途や管理対象設備、関係法令に応じて内容を調整してください。
建物保守管理業務委託契約書は、建物の所有者、管理者または利用者が、専門事業者へ保守・点検・管理業務を委託する際の条件を定める書面です。対象設備、業務の頻度、委託料、緊急時の対応方法を明確にすることで、認識の相違やトラブルの予防につながります。建物の規模、用途および設備構成によって必要な条項は異なります。実際の締結前には、関係法令や個別事情を確認したうえで内容を調整しましょう。
建物保守管理業務委託契約書とは
この契約書は、委託者が受託者に対し、建物および付帯設備の維持管理に関する業務を委託し、その実施条件を合意するためのものです。対象となる業務には、日常巡回、法定点検の補助、清掃、設備の運転監視、軽微な修繕の提案などが含まれる場合があります。
保守管理の範囲を曖昧にすると、故障発生時や追加作業が必要になった際に、誰が費用や責任を負担するかが問題になりやすくなります。契約書では、通常業務と別途見積りが必要な業務を分けて記載することが重要です。
委託と請負の違い
業務の性質によっては、民法上の準委任、委任または請負として整理されます。継続的な巡回・監視・助言等は準委任的な性質を持つことが多く、特定の修繕工事の完成を目的とする場合は請負として別契約とすることが一般的です。
契約書に記載すべき基本項目
契約当事者の正式名称、所在地、代表者名に加え、管理対象となる建物の所在地、名称、構造および対象設備を特定します。添付の仕様書や設備一覧表を利用すると、対象範囲をより明確にできます。
| 記載項目 | 目的 | よくある誤り |
|---|---|---|
| 対象建物・設備 | 保守管理の対象を特定する | 設備の型式や設置場所を記載しない |
| 業務内容・頻度 | 実施する作業と回数を明確にする | 「必要に応じて」とだけ記載する |
| 委託料・支払条件 | 費用、消費税、支払時期を定める | 追加費用の扱いを決めない |
| 契約期間・更新 | 契約の開始、終了、更新方法を示す | 解約予告期間を設けない |
| 報告・緊急対応 | 点検結果と事故時の連絡方法を定める | 連絡先や初動対応を曖昧にする |
仕様書との連携
詳細な作業内容、点検回数、使用する機器、報告書式は、契約書本文ではなく別紙仕様書にまとめる方法が有効です。契約書内で別紙を契約の一部と明記し、改定手続も定めておくと運用しやすくなります。
編集できるテンプレート
文書テンプレート
建物保守管理業務委託契約書
委託者と受託者は、建物保守管理業務の委託について、次のとおり契約を締結する。
締結日:________年____月____日
締結場所:____________________________
委託者(甲)
住所:____________________________
名称:____________________________
代表者:__________________________
受託者(乙)
住所:____________________________
名称:____________________________
代表者:__________________________
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象建物 | 所在地:____________________________ 建物名:____________________________ |
| 対象設備 | ____________________________ |
| 委託業務 | ____________________________ |
| 契約期間 | ________年____月____日から________年____月____日まで |
| 委託料 | 月額 金________________円(消費税等:________________) |
| 支払条件 | 毎月____日締め、翌月____日までに________________により支払う。 |
| 緊急連絡先 | 甲:________________ 乙:________________ |
- 業務委託
甲は乙に対し、前表記載の対象建物および対象設備に関する保守管理業務(以下「本業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。 - 業務内容
乙は、別紙仕様書に定める内容および頻度に従い、本業務を実施する。別紙仕様書は、本契約の一部を構成する。 - 業務報告
乙は、本業務の実施状況、不具合の有無および必要な修繕提案について、甲に対し________________の方法により報告する。 - 委託料および追加費用
甲は乙に対し、委託料を前表の支払条件に従って支払う。通常業務の範囲を超える作業、部品交換、修繕工事および緊急出動に要する費用は、原則として甲乙協議のうえ別途定める。 - 緊急時の対応
乙は、建物または設備に重大な異常を発見したときは、速やかに甲へ連絡し、必要な一次対応を行う。緊急対応の費用負担は、________________とする。 - 再委託
乙は、本業務の全部または一部を第三者に再委託する場合、あらかじめ甲の________________による承諾を得るものとする。 - 秘密保持
甲および乙は、本契約に関連して知り得た相手方の営業上、技術上または個人情報に関する秘密を、相手方の承諾なく第三者に開示または漏えいしてはならない。 - 損害賠償
乙の責めに帰すべき事由により甲に損害が生じた場合、乙は通常かつ直接の損害の範囲でこれを賠償する。ただし、賠償額の上限は________________円とする。 - 契約の解除・解約
甲または乙が本契約に違反し、相当期間を定めた催告後も是正しない場合、相手方は本契約を解除できる。通常解約を行う場合は、____日前までに書面で通知するものとする。 - 協議事項
本契約に定めのない事項または本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議し解決する。 - 合意管轄
本契約に関して紛争が生じた場合、________________地方裁判所または________________簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印または署名のうえ、各1通を保有する。
甲(委託者)
住所:____________________________
名称:____________________________
代表者:__________________________ 印
乙(受託者)
住所:____________________________
名称:____________________________
代表者:__________________________ 印
この場で文面を編集できます。変更はブラウザーに保存され、印刷や Word・PDF への書き出しができます。
業務範囲を具体化する方法
日常業務、定期業務、緊急対応、法定点検への立会い、修繕提案などを区分して記載します。特に、法定点検そのものを受託者が実施するのか、資格を有する別事業者の手配を補助するだけなのかを明確にしてください。
- 建物内外の巡回および目視点検
- 電気、空調、給排水、消防設備等の運転監視
- 点検結果および不具合事項の定期報告
- 緊急故障時の一次対応および連絡
- 修繕・交換工事に関する見積りまたは提案
受託者が資格や許認可を必要とする業務を行う場合は、その資格の保有状況、法令上の役割分担および再委託の可否を確認する必要があります。
委託料、追加費用および支払条件
月額または年額の委託料、消費税の取扱い、請求日、支払期限、振込手数料の負担者を定めます。通常の委託料に含まれる作業と、部品代、時間外対応、緊急出動、修繕工事などの追加費用を区別することが重要です。
- 通常業務に含まれる作業を仕様書で確認します。
- 追加業務の発注方法と見積り承認手続を定めます。
- 請求締日、支払日および支払方法を記載します。
- 委託料改定が必要となる条件と協議手続を決めます。
緊急対応の出動費、作業単価および部品代の上限や承認方法を事前に決めておくと、故障時の迅速な対応と費用トラブルの防止に役立ちます。
責任分担、報告および契約終了
受託者には善良な管理者の注意をもって業務を行う義務、異常発見時の報告義務、秘密保持義務などを定めます。一方、委託者には、作業に必要な建物への立入り、設備資料の提供および必要な指示を行う責任があることを明記します。
契約の解除・解約については、債務不履行時の解除事由、通常解約の予告期間、未払委託料や引継ぎ資料の取扱いを定めましょう。事故や損害が発生した場合に備え、損害賠償の範囲や保険加入の有無も確認してください。
よくある質問
修繕工事もこの契約に含められますか。
軽微な修繕を定額業務に含めることは可能ですが、金額が大きい工事や完成責任を伴う工事は、内容・金額・工期を明記した個別の工事契約または発注書を作成することが望ましいです。
契約期間はどの程度に設定しますか。
1年間とし、期間満了前までに書面で意思表示がなければ更新する方式がよく用いられます。ただし、建物の用途、設備更新計画、予算制度に応じて適切な期間を設定してください。
再委託を認めるべきですか。
専門資格が必要な点検などで再委託が想定される場合があります。認める場合は、事前承諾の要否、再委託先の管理責任、秘密保持および法令遵守について契約で明確にします。