雇用条件を整理できる雇用契約書のすぐ使えるひな形
この雇用契約書のひな形は、使用者と労働者の間で合意した業務内容、就業場所、契約期間、賃金、労働時間、休日、休暇その他の基本的な労働条件を文書化するためのモデルです。締結前に、就業規則や個別の雇用形態との整合性を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。
雇用契約書は、使用者と労働者が合意した労働条件を明確にする重要な書面です。業務内容、賃金、労働時間、契約期間などを記載することで、認識の相違や将来の紛争を予防しやすくなります。日本では、労働基準法により一定の労働条件について明示が求められています。このひな形は、基本事項を整理して契約書を作成する際の出発点として利用できます。
雇用契約書の目的と必要性
雇用契約書は、労働者が労務を提供し、使用者がこれに対して賃金を支払うという労働契約の内容を記録する文書です。口頭の合意でも契約自体は成立し得ますが、書面により条件を確認することは、双方の権利と義務を明確にするうえで有効です。
特に採用時には、労働条件通知書と雇用契約書を併用することがあります。法令上必要な明示事項を漏れなく示し、当事者間で内容を確認できる状態にしておくことが大切です。
労働条件通知書との違い
労働条件通知書は、使用者が労働者に対して労働条件を明示するための書面です。一方、雇用契約書は、双方が合意した契約内容を示し、署名等によって合意の証拠として活用されます。実務上は、両方の役割を備えた書式を用いることもあります。
記載すべき主要な労働条件
契約書には、雇用形態に応じた具体的な条件を記載します。曖昧な表現を避け、金額、時間、場所、期間などをできるだけ客観的に特定できるようにします。
| 記載項目 | 目的 | 記載例・確認事項 | よくある誤り |
|---|---|---|---|
| 契約期間 | 有期・無期の別と雇用期間を明確にする | 開始日、終了日、更新の有無と判断基準 | 終了日や更新条件を記載しない |
| 業務内容 | 担当する職務の範囲を示す | 営業事務、製造補助、店舗接客など | 業務を過度に抽象的にする |
| 就業場所 | 勤務する場所を特定する | 本社、支店、店舗、在宅勤務の条件 | 変更の可能性を整理しない |
| 賃金 | 支払額と計算方法を明らかにする | 基本給、手当、締日、支払日、支払方法 | 残業代や控除の扱いが不明確 |
| 労働時間・休日 | 勤務日、始終業時刻、休憩、休日を定める | 所定労働時間、休憩時間、週休日 | 休憩・休日を省略する |
作成前に確認するポイント
契約書を作成する前に、募集時に提示した条件、就業規則、給与規程および実際の勤務体制が一致しているかを確認します。試用期間、変形労働時間制、テレワーク、転勤の可能性など、個別に重要となる事項も整理しましょう。
- 雇用形態が正社員、契約社員、パートタイム等のどれに当たるか確認する。
- 有期契約の場合は、契約期間と更新に関する事項を明記する。
- 賃金の内訳、締日、支払日および支払方法を確認する。
- 始業・終業時刻、休憩、休日および時間外労働の取扱いを整理する。
- 就業規則や社内規程を適用する場合は、その旨を契約内容と矛盾なく記載する。
試用期間を設ける場合
試用期間を定める場合は、その期間、賃金その他の条件、本採用の判断に関する事項を明確にします。試用期間中であっても、解雇や雇止めには法令上の制約があるため、安易な取扱いは避ける必要があります。
編集できるテンプレート
文書テンプレート
雇用契約書
本契約は、以下の当事者間において、労働条件を定めるために締結する。
締結日:________年____月____日
締結場所:____________________
使用者(会社名):____________________
所在地:____________________
代表者:____________________
労働者(氏名):____________________
住所:____________________
生年月日:________年____月____日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 雇用形態 | ____________________ |
| 契約期間 | ________年____月____日から________年____月____日まで |
| 契約更新 | □ 更新する場合がある □ 更新しない 判断基準:____________________ |
| 就業場所 | ____________________ |
| 業務内容 | ____________________ |
| 始業・終業時刻 | 始業____時____分 終業____時____分 |
| 休憩時間 | ____分 |
| 休日・休暇 | ____________________ |
| 基本賃金 | 月額・時給 金____________________円 |
| 手当・割増賃金 | ____________________ |
| 賃金締切日・支払日 | 毎月____日締め 毎月____日支払い |
| 賃金支払方法 | □ 銀行振込 □ その他(____________________) |
| 試用期間 | □ あり(________年____月____日まで) □ なし |
- 労働者は、使用者の指揮命令に従い、前表に定める業務を誠実に遂行する。
- 使用者は、労働者に対し、前表に定める賃金を所定の支払日に支払う。
- 労働時間、休憩、休日、休暇その他本契約に定めのない事項は、関係法令および使用者の就業規則その他の社内規程による。
- 業務上知り得た使用者、顧客または取引先に関する秘密および個人情報を、正当な理由なく第三者に開示または漏えいしてはならない。
- 本契約の変更は、使用者および労働者が協議し、書面その他適切な方法により合意した場合に行う。
- 本契約に定めのない事項または本契約の解釈に疑義が生じた場合は、関係法令に従い、使用者と労働者が誠実に協議して解決する。
本契約の成立を証するため、本書を2通作成し、使用者および労働者が各1通を保管する。
使用者:所在地 ____________________
会社名 ____________________
代表者 ____________________ 印
労働者:住所 ____________________
氏名 ____________________ 印
この場で文面を編集できます。変更はブラウザーに保存され、印刷や Word・PDF への書き出しができます。
雇用契約書を作成する手順
必要事項を埋めるだけでなく、実際の労働条件と整合するかを確認しながら作成します。完成後は、使用者と労働者が内容を確認し、それぞれが保管できるようにします。
- 雇用形態と採用予定の業務内容を確定する。
- 賃金、労働時間、休日、契約期間などの条件を具体的に整理する。
- 就業規則・賃金規程その他の社内規程との整合性を確認する。
- 契約書に記入し、双方が内容を確認したうえで署名または記名押印し、各自で保管する。
契約締結前に、労働者が理解しやすい言葉で条件を説明し、疑問点を解消してから署名を受けることが、円滑な雇用関係につながります。
運用上の注意点
雇用開始後に労働条件を変更する場合は、原則として労働者との合意や就業規則の適法な変更などが問題になります。一方的な不利益変更とならないよう、変更の必要性、内容および手続を慎重に確認してください。
また、契約書の原本または電磁的記録の保管方法を定め、いつでも内容を確認できるようにしておくことが望まれます。個人情報を含むため、閲覧権限や保管期間にも配慮が必要です。
よくある質問
雇用契約書は必ず双方が署名しなければなりませんか?
労働契約は合意により成立しますが、重要な労働条件を書面等で明示する義務が使用者に課される場合があります。双方の合意内容を明確にするため、署名または記名押印を行い、各自が控えを保管する方法が実務上有用です。
有期雇用契約では何を追加すべきですか?
契約の開始日と終了日、更新の有無、更新する場合またはしない場合の判断基準を明確に記載してください。無期転換に関するルールが関係する場合もあるため、継続雇用の状況を確認することが重要です。
賃金は月額だけを書けば十分ですか?
基本給だけでなく、手当の内容、締日、支払日、支払方法、時間外労働等に対する割増賃金の取扱いなども明確にすることが望まれます。控除がある場合は、その根拠と内容も確認してください。